第二回 趣味という闘争
Eテレ_100分de名著 2021年12月14日放送分
指南役 岸 政彦
そして、
趣味とはおそらく 何よりもまず嫌悪なのだ。
趣味における私たちの動機
それはこの世界で勝つためであり、
ブルデューは趣味を闘いと分析した。
界ではどのような事が行われているか?
正統的作品はすべて、
それ自身を知覚するための規範を押し付けようとする傾向を
実際に持っている。
私たちは趣味を通じて自分のハビトゥスが上に位置できるように価値観の押し付け合いをしている。
2. 界・場 champ 学会・芸能界・野球界など
文化的・象徴的な賭け金を利益を求めて闘う空間
3. 文化資本 capital culturel
文化財・教養・学歴・文化習慣・美的性向
美的性向は、特に出身階級に依存する
例えば親が煙草を吸っている事を見てカッコ良いと考えてしまう。
- 他者の否定、他者と差を付けたい願望 ⇒ 象徴闘争
- 好き嫌いの判断とは、自分のハビトゥスの優位性を押し付ける事。
趣味すなわち顕在化した選好とは、
避ける事の出来ない差異 の実際上の肯定である。
趣味が自分を正当化しなければ ならないときに、
まったくネガティブなしかたで、
つまり他のさまざまな趣味に対して 否定をつきつけるという
かたちで自らを肯定するのは、偶然ではない。
趣味に関しては、他のいかなる場合にも
まして、あらゆる規定は即ち否定である。そして趣味とはおそらく、何よりもまず嫌悪なのだ。
つまり他の趣味、他人の趣味に対する、
いとわしさや内臓的な耐えがたさの反応
(「吐きそうだ」などといった反応)なのである。
何かを好きになるということはコミットメントすることに他ならなず、
その界隈において特定のポジジョンを獲得した対象(アイドル・カリスマ)を好きになることで、これは属する界全体を詳しくなることを意味する。
界にたいする全体理解がなければ成し得ない。
なぜ、業界全体の理解が必要かというと、自身の立ち位置がマッピング出来ないから。
その為には端から端、ピンからキリまで網羅する必要がある。
しかし、その業界のピンキリを確認出来た時、自身が特定のポジションを獲得した対象(アイドル・カリスマ)な事なはず …自信はないけど理屈で言えば。
- 趣味はそれだけでは成り立たず、他の趣味との関係において成り立つ。
↓↓界
芸術をめぐる闘争というのは、必ず同時にひとつの生き方を相手に押し付けようとするものである。
界のトップに立てばそこがゴールというワケで無く、今度はその界を率いて他の界と覇権を争うことになる。
例えば、テニス界の女王といえば大阪なおみさん、ゴルフ界の女王といえば横峯さくらさんだけど、日本の人口は1億2000万人と有限で限られてる為それぞれがテニスファンを増やす為に、ゴルフファンを増やす為に、ファン層の奪い合い、ある意味では異種格闘技戦の女王対決になっている。
- みな自分の勝てるゲームをやりたがる。
- どのゲームを勝ちと見なすか自体が闘争の「賭け金」
構造について
中流階級と上流階級の間では、「私、お金持ってます!」マウンティングが発生している。
「世の中金が全て」「権力が全て」というハビトゥスの押し付けがある。
中流階級は、その抵抗手段としての文化資本。要するに「俺、インテリだから!」涙目ルサンチマンマウント返し
文化的能力というのは
社会的な界において獲得されるものであり、その界はまた同時に
これらの能力が価値を付けられる 市場でもあるので、
これらの能力はこうした市場と 連合関係にあるし、
また文化を巡るあらゆる闘争が目指しているのは、
振舞い方という形のうちに 文化獲得条件のある
特定の集合の標識を、
つまりある特定の市場の標識を つけることになる。生産物にとって、最も好都合な 市場を作り出すことなのである。
- 趣味の相場を知ること
- 界における実践感覚を養う
文章が難しく意味が伝わってこないが、自分の好きな分野に置き換えて考えると簡単で分かり易い。
ガノタ界のハビトゥスに置き換えてみるテスツ
私はドム系の設計思想を受け継ぐドライセンが好きよ。ミニスカートが超可愛いわ♥
ドム系ならば、俺はドム系最終機のドワス改の派生機のリック・ディアスが好きだな。
え?リック・ディアスってガンマ・ガンダムでしょう?彼はドムの系譜に含まれないわよ?
あのさぁ…、スカート履いてなきゃドムとして認められませんってか?
いえ、… そうではなくてガンダリウムγ合金を採用しているディアスはガンダムの系譜でしょう。
お前さ、何処をどう見たらあれがガンダムに見えるんだ?
- 私たちは、共通の客観的なマッピングをもとに象徴闘争を繰り広げている。
- 選好は多くの場合、自分の立ち位置・ボジションやスタンスを語っている。
- ポジションのズレがその人のハビトゥスを形作っている。
人と人はわかり合えないのか!?僕たちには分かり合える道があるはずなんだ。
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