ディスタンクシオン①ブルデュー

本を読む女性 100分de名著
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第一回 私という社会

Eテレ_100分de名著  2021年12月07日放送分
指南役 岸 政彦

NHKオンデマンド


【社会学】しゃかい-がく
〔名〕フランス語 sociologie の訳語。
  19世紀にうまれた社会問題を調査する学問

ディスタンクシオンは国際社会学会が選んだ
「20世紀で最も重要な10冊」のひとつ(1998)

趣味・嗜好と出会う客観的なチャンスは、
実は社会構造が決めている!?

私の大好物が「生ハムメロン」というのは …
もしかして、 …
… … だから?

イントロダクション

「ディスタンクシオン」基本情報
La Distinction : Critique sociale du jugement
 区別/差別/卓越       社会的判断力批判

刊行 1979/フランス(邦訳1990)
テーマ 経済中心主義とは異なる文化エコノミーを問う
             ↓
  個人的な趣味と社会階級の結びつき
  お金とは違う「経済」が文化にもある!!

ブルデューは社会学の祖。
社会学は全体として自己責任論に一石を投じる学問。

あなたが社会に生きづらさを覚える原因は、あなたの努力不足では無く、社会構造が歪だからなのです。

著者プロフィール
ピエール・ブルデュー(1930~2002年)
Pierre Bourdieu

1930    フランス南西部の農村に誕生
           父は農家出身の郵便局員
1951    高等師範学校 哲学専攻
1954    哲学の一級教員資格取得
           フランス植民地アルジュリアの独立戦争
1955    陸軍に徴兵され高校の哲学教師を辞め
           一兵卒としてアルジュリアに出征
1964    フランス国立社会科学高等研究所教授
1979    「ディスタンクシオン」刊行
1981    コレージュ・ド・フランス社会学教授
1993    「世界の悲惨」刊行
2002    パリの行院で死去(71歳)

階級社会のフランスでは、出身階層が低いことはあらゆるシーンにおいてディスアドバンテージとなる。

アルジュリアといえば、アルベール・カミュのペストの舞台になった場所。

ライフスタイルがパターン化するのはなぜか?

芸術作品との出会いはというのは、
普通人々が そこに見たがるような
あの稲妻の一撃といった側面など まったくもっていない。


あなたがパチンコ好きなのは、

下層階級出身だからでしょう?
右だ!左だ!中だ!オォォォ!

自分がたまたま好きになったはずの映画や音楽・趣味など、ライフスタイルがパターン化するのはなぜなのか?

アンケート調査を見ると、あらゆる文化的慣習行動
(美術館を訪れること、コンサートに通うこと、
展覧会を見に行くこと、読書をすること、等々)

および文学・絵画・音楽などの選好は、
まず教育水準に、
(学歴資格あるいは通学年数によって測定される)
そして二次的に出身階級に、
密接に結びついている ということがわかる。


趣味は、学歴や出身階層に規定されているとブルデューは指摘している。

「孟母三遷の教え」という儒教の教えがあり、紀元前の時代から分かっていた事だと思います。フィールドワークを通じてそのメカニズムを解き明か(ネタバレ)したことがブルデューの業績なのでしょうか。
庶民が賢くては困る、というのはあると思います。

芸術を愛することの喜びである 
感情的融合、感情移入という行為も、
じつはひとつの認知行為、解明・解読作業を前提としており、
そこには文化遺産として受け継いだ
認識法や文化的能力の活用が含まれている。


階層や受けた教育によってリテラシー能力が異なってくる。

目の付け所が違う。いわゆる「着眼点」が変わってくる。
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親が敷いたレールを子供に進んで欲しいと思うのは、
自身が所属するクラスタ内での友好関係を良好に保つためであり、子供やまだ見ぬ子孫を思っての事でもある。

「毒になる親」、巷では毒親とかモンペなどの呼び名があるが、子供の養育環境として最悪である。
(なかんずくDV・性被害ともなると、もう目も当てられない … 。)
しかし何を隠そう毒親の親(祖父・祖母)もまたDQNだったのだw

残念ながら、そこのパートでは負の再生産を繰り返している。業と書いてカルマと読む!
社会全体は総和としてプラスマイナスゼロになる為、金回りの良いクラスターもあれば、それと釣り合うだけ悪いクラスターもあり、富は偏在している。

インドの貧民街に行くと乞食が多い。(一般に言うホームレスより劣悪な環境で、乞食という表現が近い)
四肢があらぬ方向にひん曲がっていたり、両目が無く眼下が窪んで脳が見えていたり、悲惨も悲惨である。

中学の社会科で習ったようにインドにはカースト制度があり、親の職業を子供がそっくりそのまま受け継ぐ。
紀元前13世紀より現在に至るまで、この伝統は3000年以上続いている。

唐突だが、驚くべきことにインドは失業率がゼロの国だ。

Q.なのになぜ、失業者がいるのか?
A.乞食は職業であるw

乞食の子供に生まれると、代々続いてきた稼業の為に親が子供を不具にしてしまうのだ … … 。
インド社会は100%世襲利権だけで成り立っており、新参者が新規参入で乞食になることすら許されない。

紀元前13世紀も前のエロイ人が、俺の財産を100%確実に子供に渡したい。動きすぎてはいけない。
いやもういっそうのこと階級移動は全面禁止してしまった方が良くね?

… … と、考えて「転職禁止」と経典に書き込んでしまって今に続いているのですね …。

安宿街サダルストリートを歩くと、日中にも関わらず人の往来が激しい。
この人達は何をしているのかというと
… … 、実はあてもなくただプラプラ歩いているだけなのですねェ。
インドに無職はいないのですが、彼らには仕事が無いのです。つまり開店休業状態なのだ。
そこで何か仕事が落ちて来ないかと道を練り歩いているというわけです。

日本では、「無職ニートは恥ずかしい人」として、罪を内面化させられて一日中自宅に引きこもって己の努力不足を反省していなければならない存在ですが、須らくインド人は恥ずかしい無職は誰一人としておらず、従って家に引きこもって反省しなくてはいけない理由もないのですw

引きこもりが部屋から外に出られない理由は、社会構造と同調圧力だったのだ!なぁ~んちゃって

ハビトゥスとは何か?

ハビトゥスとはじっさい、客観的に分類可能な
習慣行動の生成原理であると同時に、
これらの習慣行動の 分類システム(分割原理)でもある。


・ハビトゥス  habitus

・界・場        champ
・文化資本     capital culturel

  • ハビトゥス = その人に刻み込まれた傾向性

幼少期から、言葉遣い、身のこなし、趣味趣向といった形で植え付けられたハビトゥスは、所属階級の性向が刻印されており、その後の人生の選択に大きな影響を及ぼす。人々の行動にある統一性こそがハビトゥス。

ロバート・B・チャルディーニ博士の「影響力の武器」によると、人が好意を抱く判断基準は「自分に境遇が似ている」ことと指摘している。
白人は白人同士、日本人は日本人どうしで結婚する人が多い。…というのは、人間は(動物も)見た目姿が同じものを好み、一般的に多くの日本人男性は、白人の美女よりアジア系の美女の方を好む。

また、階級や、出身地、趣味など自分との共通点が多いと選好ポイントが高くなる。
が、その選好は偶然を装った、必然である。

型の中で自由に振る舞うのが自由の本質

12月14日放送
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